商店会員インタビュー vol.5「MaitoParta」

“日常生活にちょっぴりの彩りを”をコンセプトに北欧雑貨やハンドメイド雑貨などを販売する「MaitoParta」。

緑道で暮らしながらこのお店を営む、店主・知本有里さんにお話を伺いました。

―店名のMaitoPartaの意味を教えていただけますか?

マイトが牛乳で、パルタがひげという意味で、牛乳を飲んだ時に口の周りに白く残るひげという意味です。


―オープンされたのはいつですか?

この店の屋号は2013年の7月に、現在はミチヒトさんがお店をやっているところ(8条通8丁目)でスタートしました。


―昔から北欧雑貨がお好きなんですか?

北欧の雑貨や文化、インテリアがすごく好きで、北欧インテリアなどの本や雑誌を買って読んでは目をキラキラさせていたような学生時代でした。ムーミンの世界も好きですし、知れば知るほど「やっぱり素敵!」って思って、どんどん大好きになっていったんです。


―当時は緑道で物件を探されていたんですか?

というわけではないんです。就職を機に旭川へ移住したので、そこまで旭川事情にも詳しくなくて。

勤めていた会社を辞め、“次はどうしようかな”と考えていたタイミングで、前職時代から仲良くさせていただいていた姫小路の「食事処 館(現在は閉店)」のご主人から、市の中心市街地活性化事業の一環で空き店舗にお店を出すと援助してもらえるから、もし興味があれば話を聞きにいってみたらどうか、と助言をいただいたんです。元々雑貨屋をやりたいという気持ちをうっすら持ってはいたので、話を聞くだけでも行ってみようかな、と聞きにいったところがスタート。候補物件の中に前店舗があり、周りの雰囲気や条件もよかったので、そこに入ろうと決めました。


―ご自身の趣味に留まらず、お店を構えるとなると勇気がいりませんでしたか?

「よく決心したね」と言われることもありますが、“本当にいいのかな…”っていうまま、今も来ているような気がしています(笑)。すでに結婚もしていたので、主人はもちろん両家の親にも相談をしました。当時まだ二十代でしたし、誰か一人でも反対したらとりあえず今回は縁のなかった話ということにしておこうかな、という風に思っていたのですが、誰一人として反対の声はなく。「いいねいいね!いつから?」という感じで、ぼーん!と背中を押していただいた勢いで始めました。今となっては、そういう勢いも大事だったのかなと思いますね。


―2013年オープンということは、今年で10周年。当時は今ほど北欧雑貨が一般的ではなかったのでは?

ちょうどムーミンブームが来だした頃で、ムーミン好きから興味を持たれる方が多くいらっしゃいました。とはいえ昔から北欧好きの方は根強くいて、徐々に裾野が広がり取り入れられていったのかな、と。

気温や日の長さ短さのような気象条件も北海道と近いものがあるので、そういう意味でも特に北海道の人たちには北欧の文化とかインテリアって受け入れやすいものなんじゃないかな、と思います。

―ご縁や勢いの後押しからのスタートとのことですが、このエリアでお店を開いてみていかがでしたか?

本当に人が温かい。ご近所のお店同士ももちろんですが、いらっしゃるお客様も皆さん本当にいい人ばっかりで、嫌な思いをすることもなく、色々な局面でお客様に助けていただいたり優しくしていただいてきました。お店をやっているのは私ですが、周りの人あってのこの店だと毎日感じています。

お店始めた当初も、近所のお店の方々がご自身のお客様に「あそこに新しい雑貨屋さんできたから行ってみて」と言ってくださったり、積極的にショップカードを渡してくださったり。突然来てお店を始めた私に対して、さっと手を差し伸べてすぐに受け入れてくださる皆さんに、懐の深さを感じました。

―現在の店舗に移られたのはいつ頃ですか?

2020年です。上の子が小学校に上がる頃に、できればお店とお家を一緒にしたいな、と考えて場所を探していたのですが、緑道から離れたくないという思いが強くて諦めきれずにいたんです。ギリギリのタイミングになって当時こちらで音楽教室をされていた熊谷先生(※『vol.1 熊谷美江音楽教室』参照)から、上階にお住まいだった方が退去されてオーナーが変わるためここの建物全体が空くことを教えていただき、“あ!もう運命だ!”と。私個人だけでなく、子どもたちのこともこの界隈の方たちがすごく良くしてくださっていたので、もう本当に諦めずに探してよかったな、緑道から離れずにいられてよかったなと思います。

今は一階がお店で上の階に私たち家族が暮らしているので、名実ともに緑道の住人です(笑)。


―お店の前でもよくお子さんたちが遊んでらっしゃいますよね

店内のレイアウトもお子様連れのお客様へ向けてこだわりました。ベビーカーの通りやすさや歩き回るお子様を考えてできるだけ通路を広く取っていたり、小さな子が手の届くところには割れそうなものを置かないようにしています。自分も子供ができてからすごくわかるんですけど、周りに対して気を使わなければならない局面が多いので、「うちにいるときはそこまで気にしなくてもいいですよ」と声をかけられたらいいなって。せっかくならお子さんのものはお子さんに選んでもらえたらというのもあり、家族で買い物を楽しんでもらえる時間も提供していきたいと思います。


―名実ともに緑道の住人である知本さんから見て、緑道の楽しみ方、このエリアのおすすめの場所や過ごし方といえば?

何か一つ大きなものがドンとあるわけではないんですよ。小さいお店がたくさんあって、それぞれに個性や魅力があるので、やっぱり【ぶらぶら歩く】というのが一番おすすめの過ごし方ですね。

旅行の方だけでなく、普段この辺りには来ないという市民の方がご来店されたら、最後は皆さんに「ぜひこの辺ぶらぶら歩いてください」という風にお見送りするんです。自然を感じながら色々なお店をのぞいて、ちょっと疲れたら椅子に座って休憩したり、カフェに入ったり。そんな、時間と心に余裕を感じられる贅沢な時間を過ごせる場所が緑道だと思います。季節が変われば見せる表情も変わるので、季節ごとに来て違いを感じてもらうのもいいですね。

こども富貴堂さんもありますし、お子様連れの方も多いんです。車の通りも穏やかで安心できます。子どもを連れて買い物に行くって大変ですが、緑道にいる間はそこまで気を張り詰めず過ごせると思います。


―最後に、三和緑道商店会について教えてください

お話しした通りの懐の深さに加えて、皆さん頭が柔らかいんです。幅広い年齢層の方が所属している商店会なので、話し合いなどでは相互理解がむずかしい場面が起きがちだと思うんですけど、時代の流れだったりその時の状況に合わせてみんなで対応していけるのは、固定観念にとらわれない頭の柔らかさじゃないかなと。古いものももちろん大事にするけれど、そればかりに囚われずに“新しいものにも挑戦していこう”“取り入れていこう”という姿勢がみなさんにあるから、居心地のいい商店会が作られているんじゃないかなって思います。

いい意味であまり垣根がないんですよね。先に店を始めていたからとか歳が上だからとか、そういうことを過度に気にしなくていい空気があります。だから私も、新しく来てお店を始めた方や新しく商店会の会員になった方にも同じようにしていこうって、自然と思うようになりました。元々そういう土壌だったのかな。上下ではなく、横に手を取り合ってみんなで協力していこう、という雰囲気を持った商店会だなと思っています。


[インタビュアーからひとこと]

 周りの方からの言葉や行い一つ一つに感謝をし、プラスにしていく知本さん。子育てやお店を始めた頃の自身の経験を大切に、優しく社会へ還元していく姿勢はとても素敵です。お店の中にいると、かわいく並ぶ雑貨と知本さんの放つ空気でとにかくほっこりいたしました。 


インタビュアー 木村萩野

洞爺湖町出身。大学卒業後、ホテルや旅行会社で旅行・観光業に従事しつつ、ワーキングホリデーで3ヶ国に滞在。現在は地域おこし協力隊として旭川市の移住促進や中心市街地活性化を進める。旅とキャンプと食べ飲み歩きが好き。

■このインタビュー記事は、三和・緑道商店会と旭川市地域おこし協力隊が共同で制作しております。 

三和・緑道商店会

北海道旭川市7条緑道を中心とする三和・緑道商店会は、ここで生きる「人」のくらしを第一に考え、「まちと人」「人と人」「自然と人」をつなぐことを目的として活動しています。

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